白馬のMotorrad Daysでお披露目されたこのバイク。
宝石のような輝きと美しさに加え、メカニカルな機能美と「走り」を予感させるオーラを一際強く放っていた。
記憶が薄れてきたころ、一昨日に開催されたエイ出版主催のライディングパーティで偶然再会を果たすことに。
ピットロードで撮影が行われているその現場で、子供がおもちゃのショーウインドに鼻をつけて見ているのと同じ感覚でその撮影風景を見入っていた。
しかし「絶対転ばないなら」、、というワードがどうにも引っ掛かる。
当然だよね。世界で1台しかない宝石のようなバイク。しかもこれから世界中にPRすることになるかもしれない作品にキズでもつけたら目もあてられない。
テスターでもない自分が気軽に乗れるようなバイクではないのだ。
そんな心の葛藤を察してか、及び腰になっている自分に対して、このバイクの制作者である46 WORKSの中嶋志朗さんが「乗っても大丈夫ですよ、転ばなければ、、」と更に追い打ちをかける(笑)
その言葉を聞いて、ここで乗らなければ一生このバイクには乗れないかもしれないぞ!ともう一人の自分が背中を押す。
僅かな時間だったが、乗るか乗らぬかの葛藤の中、気がついたら既にシートに跨がっていた。(やっぱりそうなっちゃうよね・・)
エンジンをかけ、フラットツインの鼓動を感じながらピットロードを走りぬける。
「んっ、このバイクもしかしたら・・」
久しぶりのこの感覚。
本当に良いバイクは走りだした瞬間にその優秀さをライダーに伝えてくる。
今までの自分の経験では、OHVの柳澤スペシャルとヤマハTZ250、アプリリアのRSV4ファクトリーに乗車したときに同じことを感じた。
排気量も車体構成もまったく違うバイクなのだが、直感的に良いと感じるバイクにはすべて統一した要素がある。
それは路面と接しているタイヤからのインフォメーションが手に取るように分かり、その情報にもとにライディングに反映する際、ライダーの意思どおりに素速く的確に反応すること。
要はまったくライダーに不安感を抱かせないのだ。
もてぎの連続した1、2コーナーを抜け、3コーナーの進入から4コーナーを立ち上がる時点でその感覚が本物であることに気づく。
バイクが「もっとアクセルを開けろ!」「遠慮なんかしてても俺の良さは分からないぞ!」とばかりに攻め立ててくる。
グイグイとペースを上げるが全く転ぶ気がしない。
フロント、リアともに路面に吸い付くように、レールの上でも走っている感覚とでも言うべきか、タイヤからのインフォメーションがもの凄くダイレクトに感じる。
不安要素は微塵もない。
この時、乗車前に気になっていた「転倒」というワードは、頭の片隅にもなく、切り裂く風とともに遙か後方に飛び去っていた。
もうそこからはライディングを堪能することだけに集中。
もてぎの国際レーシングコースを究極のクラブマンレーサーで疾走する。
至福の時とはこのようなことを言うのだろう。
宝石のようなこのバイクは、その容姿だけでなく、バイク本来の「走る」という部分も非常に高いレベルでまとめられていた。
夢のような3周はあっという間だったが、久しぶりに良いバイクに乗れたことに感謝したい。
そして自分の物差しとなる良いバイクの4台目にこのクラブマンレーサーが追加されたことにも感謝。
中嶋さん、河野さん、そして今回の関係者の皆さん、本当にありがとうございました。
またいつか何処かで試乗できることを楽しみにしています!